5月連休明け
いい季節になりました!
アンケート提出率85%
いくつかコメントを引用します
・今回2回当たってびっくりした、分かりやすかった。
・BSEプリオンについて酪農を高校のときにしていたときに学んでいたので原因や感染が広がるにつれどうなって行くか産業がどう変わったのか知っていたけど改めて微生物の怖さを実感しました。
・テストに出る大事な所をしっかり伝えてくださるところがすごくいいです。
・今日もわかりやすくて、とても楽しく有意義な時間を過ごせました。
ブログ回答希望の質問にお答えします
Q1. リボソームの70Sと80Sはどれくらい大きさが違うのですか?
A1. 質問ありがとう。Sは”沈降係数”(教科書p5)。”どれくらい大きい”よりも”どれくらい落ちやすいか”を表します。分析用の遠心分離機で測定できますが、粒子径、溶媒と粒子の密度差、遠心力、溶媒の粘度により決まります。”大きさ”だけでなく分子の形にも影響され、大きければ(重ければ)落ちやすいとおおまかにイメージしてみてください。
Q2. 暗黒期について『感染ウイルスは、細胞内で一度分解したら、ウイルス粒子は見かけ上存在しない期間とあります』分解したことによって、ウイルス粒子だったものは、その期間全く違うものになっているという事ですか?
A2. 質問ありがとう。
ウイルスを製品に例えてお答えします!
①ウイルスが細胞に侵入
→②ウイルスのゲノム(設計図の原本)を格納しているタンパク質の殻(カプシド)が分解
→③設計図だけになる
→④侵入した細胞で設計図をコピーしまくる(mRNA設計図のコピーを量産)
→⑤設計図をもとにリボソームをちゃっかり使用して部品(=格納容器(カプシド)を量産 またゲノム(設計図の原本)自体も複製しまくる
→⑥ゲノムと部品を組み合わせて製品(ウイルス粒子)完成
→⑦細胞の外に飛び出して次の細胞に侵入
③から⑤の間は完成した製品が存在しない状態 = 暗黒期
(詳しくは教科書p42 下のリンクから昨年のブログも確認してね)
看護学校よもやま話2023(3) 看護学生の質問(微生物学)に答えます! ウイルスの増殖 これであってますか!! - 清心事達 日々の学び in 南大阪病院 (hatenablog.com)
Q3. 『PCR検査はウイルスの遺伝子情報を調べる』、『抗原検査はそこにいるウイルスを見つける(ウイルスの死骸にも反応する)』という理解で良いのですか?
A3. 質問ありがとう。PCR検査はゲノムの特定の塩基配列を増幅してウイルスや細菌の種類をつきとめる方法です。抗原検査はゲノムの情報をもとに合成されたウイルスや細菌のタンパク質(抗原)を検知する方法です。
あくまでゲノムの塩基配列や微生物由来のタンパク質が存在するかを特定する方法にすぎません。いずれの方法で検出されたとしてもすでに感染性を失っている場合は『死骸にも反応する』という状況になります。
Q4. 暗黒期とありましたが、インフルエンザ等に罹患し、発熱などの症状が出てから時間が浅いとウイルス量が足りなくて陰性になるから、せめて半日は経ってからとよく言われます。あの状況はまた別の状態ですか?
A4. 質問ありがとう。暗黒期は関係ありません。インフルエンザ罹患の判定にもちいるのは抗原検査です。感染後にウイルス粒子(製品)が増産されると”ウイルス量が増えて”抗原検査で検知されます。症状出現後の早い時期は完成したウイルス量(製品数)が少ないため検査にひっかかりにくい状況と考えてください。