ブログ更新しました!看護学校よもやま話2024(18)解剖生理III(血液) 『ブログ投稿』の質問にお答えします!

解剖生理学 血液の3回目は

みんなの苦手な『白血球や免疫の話』でした


アンケート提出率は盛り返しました(^^♪


前向きなアンケートの感想もいただきましたのでいくつか紹介します!
・人間心理的に、間違えることは恥ずかしいが間違えたことで“なんで?”に繋がり、理解を深めることができる
・みんなの前に出て、どちらの白血球が若いものか、成熟しているものかを答えるときすごく緊張しましたが、しっかりと知識が身につきました
・難しい範囲を楽しく理解できて嬉しいです

 

それでは頂いた質問に回答します
Q1. HLA型は何個ありますか??また骨髄移植にはその型があっていることが前提ですが、その中で6つのうち4つがあっていたら移植は出来るのですか?その場合に不都合はあるのですか? 
A1. 質問ありがとう。いきなり難しい質問ですね。HLAは発見当初、白血球に存在する白血球抗原(白血球の血液型)とされていましたが、現在は「ほとんどすべての細胞に存在するヒトの主要組織適合性複合体(MHC: Major Histocompatibility Complex)」つまり「自他認識のマーカー」として認識されています。自然免疫の制御、獲得免疫におけるT細胞への抗原提示という生体防御の要(かなめ)を担っています。ご質問のHLA型はHLA-A、HLA-B、HLA-C(以上MHCクラスI)、HLA-DR、HLA-DQ、HLA-DP(以上MHCクラスII)の6つに大別され、各クラスには多くの亜型が存在するため組み合わせは数万通りになります。
 骨髄移植ですべてのHLAの型が一致するのは一卵性双生児のみです。でも世の中にはそれほど多くの一卵性双生児はいませんよね? 実際の骨髄移植は6つのHLA型のうち4つが一致している場合でも可能です。HLAが完全一致しない場合に不都合なこととして①拒絶反応を引き起こす可能性が高まる、②ドナーの免疫細胞がレシピエントを攻撃する移植片対宿主病(GVHDのリスクも高まる、③免疫抑制剤を多量に使用するため感染症のリスクが増加する、など移植の成功率や治療効果が低下する可能性が挙げられます!

Q2.  HLAは臓器移植で用いられる検査だと分かりましたが、なぜHLA検査が特定の病気の診断に役立たない場合があるのですか?
A2. 質問ありがとう。HLA検査は主に臓器移植や骨髄移植の適合性を確認するために使用されます。特定の病気の診断には必ずしも役立たない理由を以下にお示しします。
①    病気の多様性: 多くの病気はHLA型とは無関係に発生するため、一般的な感染症、癌、代謝異常など免疫系と直接関係のない病気の診断には役立ちません
②    複雑な遺伝的要因: 多因子性の病気(例:2型糖尿病や心血管疾患)では、HLA遺伝子以外にも多くの遺伝的および環境的要因が関与するため、HLA型だけでは病気のリスクを完全に評価できません
③    特異性の欠如: HLA型は非常に多様であり、特定のHLA型が特定の病気に関連している場合でも、その関連性が強くないことがあります(例えばHLA-B27は強直性脊椎炎との関連で知られていますが、すべてのHLA-B27陽性者がこの病気を発症するわけでありません)

Q3.  ヒスタミンはアレルギー症状などを引き起こすとありましたがヒトにとって良い物質なのでしょうか?悪い物質なのでしょうか?
A3. 質問ありがとう。結論から申し上げます。ヒスタミンは体にとって必要不可欠な物質ですが、過剰に反応すると不快な症状を引き起こすことがありバランスが重要です!!
 具体的にヒスタミンの良い面と悪い面を列挙します!
良い面
①異物が体内に侵入した際、即座に免疫反応を引き起こす働きがあり、体の防御反応として重要です(炎症を引き起こし、免疫細胞を損傷部位に集める)
胃酸の分泌を促進し、消化を助け栄養吸収を促進します
脳内で神経伝達物質として働き、覚醒や注意力の維持に関与します

(花粉症で抗ヒスタミン薬を服用すると眠くなります)
悪い面
アレルギー反応の主要な原因物質の一つで、大量に放出されるとくしゃみ、鼻水、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こします
過剰なヒスタミンの放出によるアナフィラキシーショックでは、血管を拡張から急激な血圧低下や呼吸困難が起こり、緊急治療が必要になります。

Q4.  母乳は赤ちゃんを守りますが、抗体を与えられるのは初乳だけではなく、その後の母乳にも含まれていますか?
A4. 質問ありがとう。初乳は非常に高濃度の抗体を含むため、特に赤ちゃんにとって重要な免疫サポートを提供しますが、その後の母乳にも抗体や抗菌成分が含まれ、母乳全体が赤ちゃんの健康を守る大切な役割を果たしています
初乳について
初乳は、出産後最初の数日間に分泌される濃厚で黄色っぽい母乳で、特に高濃度の免疫グロブリンA(IgA)が含まれ、これが赤ちゃんの消化管粘膜にコーティングされ、病原菌から守る働きをします。また、IgA以外にも免疫細胞や成長因子、抗菌成分が豊富で赤ちゃんの免疫システムが発達するまでの重要な防御ラインとなります
その後の母乳について
初乳が分泌される期間(産後1週間)が終わると、通常の母乳(成熟乳)へと移行します。成熟乳には初乳ほどの高濃度の抗体は含まれていませんが、その他にリゾチームやラクトフェリンなどの抗菌成分が含まれ赤ちゃんの免疫系を引き続きサポートします