8月後半
看護学校の授業が再開されましたが、、、
コロナ濃厚接触者はZoomでのオンライン参加
まだまだ元の日常は遠いねぇ
21名から授業アンケートをいただいたので
久々にブログを書きます
感想をいくつか紹介
①ピロリ菌は胃がんの原因になると初めて知ったので検診の際確認してみようと思いました!
➁結核になった人は差別を受けたり隔離されたりとても苦しんだのだと思った
⇒これは誤解!!
”結核”でなく同じ抗酸菌の仲間の“らい菌”(教科書p234)によるハンセン病の話です!
③クラス全員に答える順番が回ってくるのは緊張感があっていいと思いました
④覚えることがたくさんあり難しいですが頑張っていきたいと思います
それではいただいた質問にお答えします
Q1. セレウス菌は通性嫌気性菌なのになぜ酸素のある条件下で増殖するのか?
気になりました!
A1. 質問ありがとう
別の学生からも同じ質問をいただいています
『通性嫌気性菌と書いているのに、何故酸素のある条件下で増殖するのですか?』
酸素を利用できる生物は電子伝達系(教科書p25)を通じて
たくさんのエネルギー(ATP)を手に入れることができます!
でも酸素利用時に発生する”活性酸素”対策ができない生物は
酸素毒性で細胞や組織が障害されます
教科書p21からp22をご覧ください
嫌気性菌は偏性嫌気性菌と書いてありますよね?
偏性とは、、、、”かたくなに”
絶対的に酸素を嫌がる!!
発酵による代謝のみでエネルギーをGETするタイプで
活性酸素の毒性を消去できないため酸素があると増殖できません!
一方、通性菌は通性嫌気性菌と呼ばれ
酸素があれば電子伝達系を利用し、酸素がなくても発酵でエネルギーをGETできる!
いろいろな環境でそれなりに生存することができる柔軟なタイプ
ご質問のバシラス属セレウス菌は通性嫌気性菌なので
酸素があればよりたくましく、酸素がなくてもそれなりに増殖できます
さらに芽胞を形成するので不利な環境でのサバイバルにも有利!
こんな菌が食中毒を引き起こすなんて、、、怖いねぇ
みんな!
お弁当やおにぎりを常温~高温で放置したら危ないよ!!
セレウス菌の食中毒に気をつけてね( ゚Д゚)
Q2. リンパ球がインターフェロンγを出していたら結核に感染していると判断するのか、インターフェロンγの性質を見て結核に感染していると判断するのかどちらかわからなかった。
A2. 質問ありがとう
長い間、結核の診断にはツベルクリン反応が用いられてきましたが、、、
日本ではBCG接種(弱毒化したウシ型結核菌による生ワクチン)の影響で陽性になってしまう問題点も抱えていました、、、
インターフェロンγ遊離試験(IGRA 教科書p148)が登場し
この問題はクリアされました!!
IGRAの代表的なクオンティフェロン試験(QFT)の概略を示しますね
①採血して被験者の白血球を取り出す
③結核菌感染歴があれば白血球に含まれるT細胞に結核菌の記憶(免疫記憶)が存在⇒加えた抗原に刺激されインターフェロンγを放出する
④このインターフェロンγを酵素標識抗体法(ELISA)で定量する
BCG接種の影響はうけません💛
『被験者のTリンパ球に結核菌の抗原を加えてインターフェロンγが放出されれば結核に感染したことがあると診断できる』
9月の試験はしっかりがんばってね!