看護学校よもやま話2022(13) 看護学生からの質問に答えます (^_-) ボツリヌス菌は毒素型食中毒で、加熱によって防げないはずなのにボツリヌス菌の予防のところに食品の加熱って書いてあることが疑問に思いました

微生物学単位認定試験まであと3週間ちょっと

 

13回目の授業アンケート回答は24名

2021年度は28名回答と今年より多いものの、、、

でも回答のタイミングが全く違います!!!

アンケート受付時間変更(授業日の20時から受付)の影響、、、すごいぞ!

 

回答数は減りましたが、、、、

『わからなかったこと』を記載する学生が増えました!

 

しっかりした振り返りで自分の弱点を補強して

試験成績がアップすればうれしいねぇ💛

、、、でも平常点をGETしそこねた学生諸君、、、がんばって

 

アンケート回答をいくつか紹介します

膿(うみ)は白血球の死骸と初めて知った

梅毒は放っておいたら治ると思ってたけど第3期まであって最終死に至ると聞いて驚いた。抗生剤で治るので早めに発見する必要があると思った。またお腹に赤ちゃんがいたら赤ちゃんにもうつって歯もギザギザになるのは可哀想だと思った

ボツリヌス菌の芽胞が加熱しても完全に死滅しないところが怖いと思いました

 

ではいくつか質問にお答えします

Q1.   ボツリヌス菌は毒素型食中毒で、加熱によって防げないはずなのにボツリヌス菌の予防のところに食品の加熱って書いてあることが疑問に思いました

A1.    質問ありがとう!

復習します

文部科学省は給食食中毒を防止するため基準を示しています!

 「中心部が75℃で1分間以上二枚貝ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85℃で1分間以上)加熱すること

学校給食衛生管理基準の施行について:文部科学省 (mext.go.jp)

 

『細菌性食中毒は感染型と毒素型に大別され毒素型は食品加熱で予防できない!』

毒素型食中毒を起こす代表的な細菌は3つ

黄色ブドウ球菌(教科書p197  エンテロトキシン 耐熱性100℃30分に耐える)

ボツリヌス菌(教科書p239 ボツリヌス毒素 熱に比較的弱く80℃30分で失活)

セレウス菌(教科書p226 嘔吐毒(セリウリド) 耐熱性126℃90分*)

 

さらに➁ ③はやっかいな芽胞を作ります

関係を図示すると

文部科学省の基準の75℃1分間の加熱では毒素は無害化できません、、、

でもボツリヌス毒素は比較的熱で失活しやすいため

十分な加熱80℃30分なら予防できる可能性があります

さらに

『栄養型(細菌)のときにしっかり加熱し毒素や芽胞を作らせない』

ことが重要です!!

 

*以下HPから引用

www.kenko-kenbi.or.jp

Q2.  混合感染とは!と聞かれても答えられません、、わかっているようなわかってないような感じです

A2.  質問ありがとう

他の学生から同じような疑問をいただいています

 

『例えば皮膚を怪我したとき黄色ブドウ球菌や連鎖球菌が増殖して酸素を食べ尽くしたあと嫌気性菌が出てきて増殖するなど、一つの感染巣に複数の菌が感染していることを混合感染という』(学生Kさん)

とまとめてくれていました、、、さすが!

 

Q3. クロストリジウム属の菌すべてが芽胞を形成するのでしょうか?

A3. 質問ありがとう

教科書p236 の記載『芽胞を形成できるグラム陽性のクロストリジウム属菌は、酸素尾存在下でも芽胞の状態で生きのびることができる。この特性を利用して、クロストリジウム属菌は土壌や植物の表面に生息している』

みんな! 土の汚れのついた傷をみたときは破傷風に注意しましょう!

 

Q4. 昔の砂場には大体、猫の糞があった状態で遊んでいましたが、その時代の子はトキソプラズマ症にかかっている子が多かったのですか?トキソプラズマ症にかかった子どもは どのような症状が出るのですか?

A4. 質問ありがとう

質問の後半から回答しますね

妊娠中の感染で母体から胎児にトキソプラズマ原虫が移行すると、妊娠初期には流産、死産妊娠中期から後期なら新生児に先天性トキソプラズマ(網膜脈絡膜炎、水頭症、脳内石灰化、精神発達遅滞)を生じます(教科書p324)

健康な成人や小児の感染では大半は無症状ですが、AIDS患者(HIV感染)ではトキソプラズマ脳炎(脳症)をきたします(エイズ指標疾患)

 前半部分については知りません、、、、すみません

yahoo検索

『猫、トキソプラズマ、感染率』

⇒獣医さんのブログから引用します

トキソプラズマ症~猫とわたし【獣医師監修】 | 【獣医師監修】ペットのよくある病気 (xn--hhrx3xt0jt8h4kenrxmi6a.com)

トキソプラズマ陽性猫は20-30%で、オーシストと呼ばれる感染源を排出しているものは猫全体で1%以下、初回感染後の1-3週間だけ排泄されるため猫ちゃんからの感染は稀なものだということがわかっています

➁一番の感染源である、生肉に注意する。市販の精肉はほぼ安全だそうだが生に近い肉やレバーの刺し身などは避けて、よく火が通った肉を食べること。
生肉を調理した包丁やまな板は十分洗浄して、そのまま他の野菜などを調理したりしないこと。調理中に半生の状態で味見をしないこと

 

妊婦さんは猫(飼い猫)の糞の処理などの際、手洗いなど手指の衛生に注意した方がいいみたいですが、、、詳しくは上のHPを参考にしてください