9月下旬
まだまだ暑いねぇ!

ひさびさの解剖生理IIIの1回目講義
アンケートからいくつかのコメントを紹介します
・先生の授業では大切なところがとても覚えやすいです
(テスト前に勉強してもいつも頭に用語がでてきます)
・前に行くのは…ハードルが高いです(できれば、やりたくないです)
それでは質問にお答えします
Q1. 遠心分離機は血液以外も分離することができるのですか?
A1. はい、もちろんです。遠心分離機は密度の違いを利用して、液体や固体、気体などの異なる成分を分離するために使われています。たとえば牛乳からクリームを分離できます。医療現場でも尿を遠心分離し尿中の細菌や細胞について検査するなど日常的に活用しています。
Q2. とあるテレビでABO式血液型についての番組を観ました。その中で輸血について触れられ、昔は輸血するときに当てずっぽうで輸血していた時代もあったと紹介されていました。日本でも行われていたことでしょうか??
また、稀少血液と言われているRh-よりも珍しい血液型はどのようにして発見されていったのでしょうか??
A2. 質問ありがとう。輸血はヨーロッパで17世紀ごろから試みられていました。当時は血液型の違いによる免疫反応が理解されていなかったため、試行錯誤の連続で、輸血がうまくゆく場合もあれば輸血後に容態が急変して死亡する場合(不適合輸血)もあるなど、危険な医療行為と考えられていました。日本でも1900年前後の時期には同様の事例があったことが推定されます。1901年にオーストリアのカール・ラントシュタイナーがABO式血液型を発表し、その後、第二次世界大戦での多数の傷病者への治療経験を経て輸血技術は進歩し、『輸血時に血液型検査を実施、血液型の適合が重要である』という原則が確立しました。
稀少血液型も、基本的に血液中の抗原の違いによって分類されます。輸血後の副作用の原因調査で予想外の凝集反応が生じた場合、献血者を含めて詳細に検査することが新しい稀少血液型を発見するきっかけとなります。免疫学的検査の進化、DNA解析技術の進展により血液型の遺伝子に基づいた詳細な分析が可能となった結果、Bombay型のような超稀少血液型が発見されました。国際的なデータベースと希少血液型ネットワークも構築され、稀少血液型Diego型やDuffy型などが登録されています。
Q3. フェリチンが高いと貧血の原因ですか?
A3. 質問ありがとう。フェリチンは体内の鉄を貯蔵するたんぱく質で、主に肝臓や脾臓、骨髄に存在しています。血中のフェリチン濃度は体内の鉄の貯蔵量を反映するため、もっとも一般的な鉄欠乏性貧血では鉄の不足を反映して血中のフェリチン値が低くなります。
ご質問の『フェリチンが高い』ということは、体内に過剰な鉄があるか、炎症反応が起きていることを示唆します。具体的には慢性の炎症や感染症、自己免疫疾患などでフェリチン値は上昇します。このような場合、体内に鉄は十分にあるにもかかわらず、体が鉄を有効に利用できなくなり、『慢性炎症に伴う貧血』を引き起こします。
まとめるとフェリチンが高いこと自体が直接的に貧血の原因になるわけではありません。フェリチンの数値が高い場合、いくつかの健康状態が関係している可能性があり、それが間接的に貧血と関連することがあります。
Q4.Rhマイナス(陰性)が日本人に少ないのはなぜなのか知りたいです。
A4. 質問ありがとう。Rh−が日本人に少ない理由は、遺伝的な要因と人種間の違いが大きく影響しています。
遺伝的要因
Rh因子は、RhD抗原の有無で決まります。Rh因子は常染色体優性遺伝の形で受け継がれるため、RhD抗原を持つRh+が優性で、Rh−が劣性です。Rh−の人が生まれるためには、両親からそれぞれ劣性のRh−遺伝子を受け継がなければならず、Rh−の遺伝子が少ない地域ではRh−の人も少なくなります。
人種間の違い
Rh因子の有無は人種間で分布に大きな違いがあります。白人(ヨーロッパ人)のRh−は約15%、アフリカ人のRh−は3-5%ですが、日本人を含むアジア人では、Rh−は約0.5%未満と低頻度です。日本を含む東アジアの集団では、Rh−の遺伝子が非常に稀で、Rh−の割合が非常に低い状態が続いています。
Q5. Rhマイナス同士の両親だと子供は必ずマイナスで産まれますか?
A5. はい。 両親がどちらもRhマイナスであれば、父、母とも「Rh−Rh−」の遺伝子を持っています。この場合、子供はそれぞれの親から必ず「Rh−」の遺伝子を1つずつ受け取るため、子供も「Rh−Rh−」の遺伝子を持ち、結果として子供も必ずRhマイナスとして生まれます。