微生物学講義 あと1回で終了です
9月29日木曜日の単位認定試験、、、
一発合格してね!
今回の授業アンケート提出は23名
安定した提出パターンですね!!
コメントを紹介します!
①(ヘルペスウイルス属)具体的な例を毎度上げてくださっていたので、想像しやすく分かりやすかったです、、、終生感染の特性が怖いなと感じました
➁ばぴろーまういるすは女性だけでなく男性も感染してしまうこと
③天然痘は死亡率が高く怖い病気だったいうことを学んだ
④Siriが発動してくるのがいつも面白いです
⑤(クリプトコッカス)鳥が嫌いなので鳩から逃げてて良かったと思った
今回も質問をいただきました
Q1. ウイルスは宿主が亡くなるとウイルス自身も死んでしまうため、コロナウイルスは感染者が亡くならないように変異していってると聞いた事があります。終生感染するヘルペスウイルスも変異してきたのですか?
A1. 質問ありがとう
ヘルペスウイルスも変異します!
古い論文:単純ヘルペスウイルス1型の3つの変異型の地域的偏在性(感染症学雑誌 第63巻 第8号)
新しい論文:Identification of a Herpes Simplex Virus 1 Gene Encoding Neurovirulence Factor by Chemical Proteomics.(「Nature Communications」2020年9月29日オンライン版)
一般的にDNAウイルス(ヘルペスウイルスなど)はRNAウイルスと比べて変異しにくいとされています(DNAポリメラーゼはRNAポリメラーゼより校正する能力が高い)
さらにウイルスの立場からみてヒトに感染するときの大事な戦略は
『攻撃してくる宿主(ヒト)の免疫との闘いをいかにすり抜けるか!』
変異を繰り返すことで免疫系から逃れるコロナウイルスの戦略とちがって
ヘルペスウイルス属は免疫系に察知されることなく神経細胞やリンパ球の核内に潜伏感染する戦略を採用!
免疫機構から攻撃されにくい ⇒ 激しく変異する必要性は低くなる
神経細胞の核内に侵入したウイルスDNAは核内で環状化し宿主染色体から遊離して存在
⇒ほとんど全てのウイルス遺伝子の発現は抑制(=ウイルスのタンパク質を作らず)されて宿主の免疫系から察知されない状況で潜みます
まるで政権政党にいつのまにか浸透していた某宗教団体!
とっても巧みな戦略 ( ;∀;)
まとめると
・ウイルスは宿主の細胞を利用することによってのみ増殖できます
⇒宿主が生きた状態でウイルス増殖が持続することはウイルスにとっては有利
・ヘルペスウイルス属は初感染後宿主の細胞に潜伏感染し共存します
・宿主の免疫状態の低下(病気・老化・薬剤の影響)によって再活性化します
・再活性化したウイルスは組織を破壊し発病します
Q2. サイトメガロウイルスは後天的感染と記載してありましたが
胎児に影響が出る時期が異なる(症状が出ない方もいる)のは個人差ということですか?
A1. 質問ありがとう
『個人差』を明快にお示しすることはできませんが妊婦の初感染では一定の割合で胎内感染を生じるリスクがあります!
(2017年のブログで紹介したHPの図を再度引用します)
サイトメガロウイルスにはどうやって感染するのですか? | トーチの会 - 先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会 (toxo-cmv.org)
妊娠中の胎内感染について教科書p264の説明
『妊婦の初感染では、20~40%の例でウイルスが胎盤をこえて胎児に垂直感染する。そのうち、約10%に先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症がおこる。症状は無症状(出生直後には異常がなくても、発達に伴い難聴が出現することがある)から、低出生体重・脳内石灰化・網脈絡膜炎・肝脾腫などを合併する重症なものまでさまざまである』
免疫抑制状態(臓器移植後や白血病やリンパ腫の治療後)の患者さんでは
CMVの後天的感染は要注意( ;∀;)
積極的な抗ウイルス薬による治療が必要です!