インフルエンザ! タミフルⓇvsゾフルーザⓇ

南大阪看護専門学校1年生のBさんからの質問です(^_-)

 

Q 教えて欲しいことがあります(^o^)丿

『インフルエンザの薬で「1日寝たら治る」という薬がある!!』

インフルエンザに罹患した(看護学校の)先生からお聞きしました(*_*)


最近、友達がインフルエンザAに罹りました。
私は(学校の先生が話していた)

「その薬をもらったん?」って友達に聞いたら

「去年の冬にもインフルになった時、タミフル飲んでたから去年と同じ飲み慣れた薬がいい」とお医者さんに言われたそうです。
なんで1日で治るインフルの薬より飲み慣れたタミフルの薬を

お医者さんは処方したんですか?


疑問に思ったのでお答えいただけると嬉しいです!

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 A.

以下「1日寝たら治る」は「1回服用するだけでOK」と解釈してお答えしますね

新薬ではなくタミフルⓇを処方した

そのお医者さんの対応は理にかなってます

 

抗インフルエンザ薬を服用すると?

48時間以内に服用すると発熱期間が1日短縮します!

仕事や学業(試験前(=_=))などで

早く熱を下げたい患者さんの希望も叶えられます

また重症化のリスクが高い患者さん(呼吸器系疾患患者、高齢者、5歳以下の小児など)では有用な治療オプションです!

 

なぜ効くのか?

ほとんどの抗インフルエンザ薬は

複製されたウイルスが感染細胞から外にでてゆくための酵素(ノイラミニダーゼ)を阻害することでウイルスが感染細胞から飛び出せなくなることですが、

今年爆発的に処方数が増えたゾフルーザⓇは作用機序が異なります

ウイルスのRNA合成を阻害してウイルスの増殖自体を抑制

 

即効性が期待されていますが。。。。。

 

さらに質問のタミフルⓇ(経口)

1日2回 5日間の服薬が必要ですが

1回だけ投与の薬剤は3つ!!

イナビルⓇ(吸入)

ラピアクタⓇ(点滴)

ゾフルーザⓇ(経口)

 

内服1回ですむなんて便利

ゾフルーザⓇ 一見とても魅力的。。。。

 

患者さんが便利だと感じるのも

なるほどです!

 

でもでも。。。

専門家はどうか?

ゾフルーザⓇについては積極的に推奨していません!

日本小児科学会HP

2018/2019シーズンのインフルエンザ治療指針
 
バロキサビルマルボキシル(ゾフルーザⓇ)は、インフルエンザウイルス特有の酵素であるキャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性を選択的に阻害する。ウイルスのmRNA合成を阻害し、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する新しい作用機序の抗インフルエンザ薬として2018年2月より製造販売承認を受けている。同薬の使用については当委員会では十分なデータを持たず、現時点では検討中である。
 
日本感染症学会HP
単回経口投与で治療が完結するため、臨床上有用な薬剤と考えられる一方で、高率にウイルスのアミノ酸変異を惹起することが知られており、臨床効果への影響、周囲への感染性については、今後の検討が必要である。
 
なぜ?
新薬であるため薬価が高く
治験中に耐性ウイルスの発生率が高かったことから
多数の患者さんにどんどん使用されちゃうと
耐性ウイルスが発生して蔓延する危険性
懸念されます。。。。。。
 
まとめますね

理由①抗インフルエンザ薬は治療に不可欠なものではありません!

健康成人ならインフルエンザに罹患しても、アセトアミノフェンカロナールⓇ)で熱を下げて自宅で安静にしていると4-5日で治癒します 

 

理由②服薬にはデメリットがあります

服用した個人には副作用のリスク(タミフルⓇ服用後の異常行動など)

薬を用いることでウイルスの耐性化(薬が効かなくなる)が生じるリスク

薬剤コスト(医療費が高くなる)

 

1回内服で便利。。。。
受診した患者さんがここに飛びつき
『先生、これ出してください』
 
安易な処方が増加すると。。。。
 
耐性ウイルスの蔓延につながっちゃうとやばいぞ(-_-;)
 
将来、新型インフルエンザが出現したときに
せっかくの『切り札』が使えなくなってしまうかも。。。。(ー_ー)!!
 
抗インフルエンザ薬の一押しはタミフル
(オセルタミビル)!

日本小児科学会HP(2018/2019シーズンのインフルエンザ治療指針)より

ジェネリック薬も承認され薬価も下がってます(^o^)